保険商品の多様化について

金融業界に自由化の波が押し寄せて久しくなりました。こうしたうねりの中で、それぞれの企業が様々な改革や対応をせまられました。保険業界においても同じです。従来、護送船団方式と呼ばれる、海外から見れば非常に過保護にも見える運営が、大きく変わって来ました。その1つのあらわれとして、保険商品の多様化ということがあげられます。
競争が促進された結果、他社との差別化戦略が激化しました。各社が打ち出した工夫は、まず損害保険商品にみられました。たとえば自動車保険においては、リスクを従来よりも細分化して、保険料率に組み込むということが行われるようになったのです。これは、被保険者に関わるハザードに基づくリスク区分を従来よりも細かく分けようとしたことを意味します。
たとえば、従来よりも年齢区分が細かくなり、これまで考慮されてこなかった地域差も保険料率に反映されることになりました。以前からも地域差による事故率の差というものは認識されていたのですが、それを保険料率に組み込むと、著しい差が生まれてしまうため、それを避けようというねらいから、地域差を反映させてこなかったのです。しかし金融自由化が進められてからは業界内の競争が激化し、こうしたことも保険料率に反映させるようになったのです。
この傾向は、これまでリスクが低いにもかかわらず高い保険料を支払ってきた契約者にとっては大変ありがたいものでした。リスクが細分化されることによって純保険料部分が低く抑えられただけではありません。販売チャネルを通信販売にすることによって、付加保険料率部分を圧縮し、さらに低い保険料で販売しようとした企業もありました。
ただ、従来よりも低い保険料で保険を購入できるようになったということは、逆に、従来よりも高い保険料率を適用される契約者も存在するということになる。こうした方々にとっては、新しいタイプの保険よりも従来型の保険商品を購入する方が賢明ということになる。
従ってリスクを細分化した保険商品というのは、全ての契約者にとってその恩恵を享受できるものではありませんでした。つまり保険会社側からみれば、逆の傾向にも注意を払わなければならなかったのです。
このようにリスクを細分化した自動車保険は、もともとアメリカンホーム社が初め、これに追随した企業もたくさんありました。
保険商品多様化の事例はほかにもあります。従来、填補されなかった損害をも対象とする保険商品が登場したのです。たとえば、自動車保険において、人身傷害補償保険が組み込まれたケースがその一例です。従来、自動車保険においては、被保険者の傷害について、補償が必ずしも十分ではなかったからです。自動車同士が衝突した場合、通常は一方的に過失があるということは少なく、双方に過失があると判断されることが多いものです。そのため、損害賠償を受けるときは、相手の過失と相殺されてしまい、十分な補償が得られないことが多かったのです。こうしたケースに対応できるよう人身傷害補償保険が登場することになったのです。
このように競争が激化した結果、損害保険、特に自動車保険において、商品の多様化や保険料率の低下が進んでいきました。

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